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by moon99999
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君について行こう 女房は宇宙を目指す

君について行こう 向井万起男
講談社アルファ文庫 上巻 http://qrl.jp/?145138 下巻 http://qrl.jp/?147403
単行本初版1995年 文庫1998年

向井万起男氏は、慶応大学医学部の助教授、いや昇進していまや教授である。病理学の研究者で、論文も書くし学会でも発表する、業界ではそれなりの地位の人である。しかし彼の真骨頂はそこにはない、かもしれない。
彼は、日本初の女性宇宙飛行士、向井千秋さんの夫なのだ。
本人も、それが最大の肩書きであることを潔く認めている。

ついでにいうと、物書きでもある。
この本を書いたのは彼だからだ。

彼はほかにも奥さんに関する本を書いているが、それだけではなく、「ハードボイルドに生きるのだ」などの軽妙なエッセイも書いている。
もうひとつ付け加えるならば、熱心な大リーグファンでもある。

さて、今回の本は、奥さんの千秋さんとどうやって出会い、そしてどうやって彼女が宇宙飛行士になっていったか、ということが書かれている。
ローンチ(発射)当日までのことが、ある程度時系列に書かれている。

だがそれだけではない。 いろいろな記述を通して、「俺は女房を愛しているんだああ!」という気持ちがしみじみと伝わってくる。
「みなしご一人旅」気質の奥さんに対して彼が持つ愛情は、とても深い。

さて、この本は宇宙飛行士を目指す人には格好の本、かどうかはわからない。ただ、NASAでどんな訓練が行われていたのか、を知ることができるし、家族へのサポートも含めた体制もしっかりわかる。 JAXAの人たちも、きっと読んでいるだろう、というか読んでおいてほしい。 (JAXAがなにか、知らない人はこちらへ http://www.jaxa.jp/index_j.html )

千秋さんと一緒に飛んだ人に、ジョン・グレンがいる。知らない人のほうがおおいと思うが、彼は昔の宇宙飛行士であり、議員でもあった。そして彼はもう一度宇宙へ飛んだ。完全なアメリカン・ヒーローなのだ。
他の同僚も、いろいろ明るく楽しい人たちがそろっている。

宇宙に興味がある人は、ぜひ読むといいと思うし、それでなくても、軽妙なエッセイとして楽しめると思う。

と思ったら、今日はこんなニュースが飛び込んできた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041210-00000403-yom-int

宇宙ステーションで食糧SOS、乗組員の食事制限

 【ワシントン=笹沢教一】米航空宇宙局(NASA)当局者は9日、米露2人が乗り組む国際宇宙ステーションの貯蔵食糧が残り少なくなったため、1日あたりの食糧をカロリー換算で5―10%削減するよう指示したことを明らかにした。

 蓄えは来年1月中旬までしか残っておらず、補給物資の調達が困難になった場合、安全確保のための帰還も検討している。

 昨年2月のスペースシャトル「コロンビア」事故以来、輸送量の少ないロシアの補給船で物資の輸送を行っているため、積み荷が制限され、食糧の補給が後回しにされてきたのが原因。

 今月24日に補給船の打ち上げが予定されているが、打ち上げの失敗や日程の大幅な遅れもありうる。このため当面は“ダイエット”で食糧を温存していく。補給船には、中国系米国人のリロイ・チャオ飛行士へのクリスマス・プレゼントとして、餃子などの点心が積まれる予定。
(読売新聞) - 12月10日10時58分


このリロイ・チャオというのは、やはり千秋さんと一緒に飛んだ宇宙飛行士なのだ。
これが二度目なのか三度目以降の飛行なのかはわからないが、この本に出ている彼の写真は、とても童顔の子供のような感じだ。でも、今44歳なのだが。

きっと、向井千秋さんは、NASAで、餃子を送るアイディアに拍手を送りつつ、リロイの無事を祈っていることだろう。 そして、マキオちゃんは、慶応大学で授業や研究をやりながら、奥さんのことを考えているのだろう・・・

ちなみに、万起男さんの顔は、イラストそっくりだ。これがまた笑える・・・


お勧め度:☆☆☆☆1/2 若者よ、宇宙を目指そう!
by moon99999 | 2004-12-10 23:35 | ドキュメンタリー