コイン・トス
2005年 02月 10日
コイン・トス幸田真音
講談社 (2004/06/16)
http://tinyurl.com/5m3ye
「eの悲劇」の続編ともいえる。
主人公は、元は信託銀行の凄腕ディーラーだったが今はガードマンになっている篠山。
彼は、10年ぶりに昔の同僚、冴子に会う。
そして冴子と再会を約したものの、彼女から突然の電話が。冴子は、2001年9月11日に、ワールド・トレード・センターにいたのだ。
WTCからの電話は切れ、その後彼女の消息は絶える。
篠山は、冴子の足跡を追い、NYへ・・・
ミステリー仕立てだが、それほどのミステリーにはなっていない。途中にはドラマもそれほど大きくは無い。
こう書いてしまうと、作品としては、それほどの出来ではないのかもしれない。
しかし。
これは、彼女には絶対必要な作品だったのだと思う。
ワールド・トレード・センターに勤務したことがある彼女にとっては。
あのビルの大きさを知っているものとして。
それが消えてしまった事を、自分に納得させるために。
彼女自身、WTCの跡地へ行くことをためらい、行っては衝撃を受けたという。
その気持ちはわかる。
彼女を救い出す道具として、この作品があったのだと思う。
この作品を書くことは、彼女なりの過去への鎮魂だったのだろう。
そして自分のなかで過去に区切りをつけるためのツールだ。
この作品は、感情移入する人としない人がかなり割れる作品だと思う。
前者の人には受け、後者には評価されないのではないだろうか。
それでも、幸田ファンならずとも読んでみていい作品だと思えるのだ。
お勧め度:☆☆☆1/2 過去よりも未来を。
講談社 (2004/06/16)
http://tinyurl.com/5m3ye
「eの悲劇」の続編ともいえる。
主人公は、元は信託銀行の凄腕ディーラーだったが今はガードマンになっている篠山。
彼は、10年ぶりに昔の同僚、冴子に会う。
そして冴子と再会を約したものの、彼女から突然の電話が。冴子は、2001年9月11日に、ワールド・トレード・センターにいたのだ。
WTCからの電話は切れ、その後彼女の消息は絶える。
篠山は、冴子の足跡を追い、NYへ・・・
ミステリー仕立てだが、それほどのミステリーにはなっていない。途中にはドラマもそれほど大きくは無い。
こう書いてしまうと、作品としては、それほどの出来ではないのかもしれない。
しかし。
これは、彼女には絶対必要な作品だったのだと思う。
ワールド・トレード・センターに勤務したことがある彼女にとっては。
あのビルの大きさを知っているものとして。
それが消えてしまった事を、自分に納得させるために。
彼女自身、WTCの跡地へ行くことをためらい、行っては衝撃を受けたという。
その気持ちはわかる。
彼女を救い出す道具として、この作品があったのだと思う。
この作品を書くことは、彼女なりの過去への鎮魂だったのだろう。
そして自分のなかで過去に区切りをつけるためのツールだ。
この作品は、感情移入する人としない人がかなり割れる作品だと思う。
前者の人には受け、後者には評価されないのではないだろうか。
それでも、幸田ファンならずとも読んでみていい作品だと思えるのだ。
お勧め度:☆☆☆1/2 過去よりも未来を。
by moon99999
| 2005-02-10 20:55
| 文学系