三月は深き紅の淵を
2005年 02月 19日
三月は深き紅の淵を恩田 陸
講談社 (2001/07)
http://tinyurl.com/6hryg
書評によればこういう話だ。
「鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼん)「三月は深き紅の淵を」の話。たった1人にたった1晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。」
これは、4部にわたるこの作品の第一部についての話だ。
結局この謎の本については謎のままで終わる。
そして第二部になり、その本がどうやって出来たか、が見つけられる。
第三部では、その本が書かれるまでの背景が描かれる。
そして第四部では、作者の心の中が語られながら、それまでに語られたこの本のストーリーの断片が同時に少しずつ展開していく。
作家は、作品が完成したらそれで作業は終わる。しかし、この本において、作者は本当に満足したのだろうか?
第4部の構成は、かなり変わっている。
だが、これは完成しているとは言いがたい。
作者の自省の部分と、断片的なストーリーを集めたものが交錯している。
私が作者だったら、これを完成品とは言いにくい。
本来なら、第4部は、本当の意味のこのタイトルの本のストーリーを中心にした話であるべきだったろう。
作者がなぜこういう構成をとったのか。どこかで書いているのなら、見てみたいものだ。
お勧め度: ☆☆☆1/2 第一部が一番面白かったような気がします。
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by moon99999
| 2005-02-19 20:27
| 推理小説系