幸福を売る男
2005年 06月 26日
幸福を売る男 藤田 宜永
角川書店 2005-04-25
http://tinyurl.com/7vv87
いま、書いたものが消えてしまってショックだ・・・
まあ気を取り直して書いてみよう。
長年連れ添った妻から離婚を言われた。
長年働いた会社からリストラされた。
再出発でひとりで暮らし始めた。
そんな中年(初老)の男。
望むとしたら、仕事、それから女だろう。 できれば若くて、いい女を、と思うのではないか。
そんな真二郎のところに、友人の編集者、石山から電話がかかってくる。石山のいる店に行くと、そこには彼の部下の若い女性二人がいる。
真二郎はそのうちその一人と関係を持つことになる。
それに加えて、真二郎に気になる女性ができる。そして彼は彼女のあとを追いかけたりして、最終的に近づくことができた。そして彼女とも。
真二郎は仕事が無い。石山に言われ、エロ小説を書き始めた。なんとかなりそうだ。
これは完全に、この世代の男性の欲望を具現化した小説だ。
そんなことはありえないだろう、と思いながらも、きっと読者は真二郎を応援する。
いい目を見てほしいし、自分もあやかりたいからだ。
リアリティではそんなことはないだろうと思いながらもそういうことがあってほしい、と思えるのもきっと真実だろう。
若くて美人に言い寄られる。そして別の女性をも口説く。
ありえないぞ、と思いながらもこういうことが自分にもあってほしい、と思いながら読むんではないかな。
ある程度年齢を重ねても、男は男。男のロマンには素敵な女性がつきものなのだから。
そして彼がまわりを巻き込んでいくうちに、彼は「幸福を売る男」ではないか、と言われる。
彼が全員を幸福にできたわけではない。もちろんいろいろ問題もあるし、失意の女性も出た。
だが、彼が多くの人間を幸福にしたことは確かだ。
結末も抑制が効いている。ありえないよ、と思いながらも最後のところは、ああ、こうなるのかあ、こういう結末ならやっぱりありだな、ときっと主人公に感情移入する多くの同世代男性は思うのだろう。
こういう、おさえた描写と男性の欲望の方向性を書く藤田と、女性の性愛を奔放に描き出す小池真理子が夫婦で、それぞれ直木賞をとっているというのは不思議な気がする。
藤田は、この世代の男性の願望を具現化させる作品を書くことによって、多くの支持を得ているのだろう。
私はこの世代よりは少し下だと思うが、それでも主人公に感情移入していた。
やはり、素敵な女性から純粋にアプローチされる、というのは男のロマンだな、と思う(笑)。
お勧め度:☆☆☆☆1/2 男として、きれいな女性と関係を持つ、というのはやはり一番わかりやすいロマンです。それを小説ではかなえてもらえます。ヤキモチをやかない程度の抑制スパイス付で・・・
角川書店 2005-04-25
http://tinyurl.com/7vv87
いま、書いたものが消えてしまってショックだ・・・
まあ気を取り直して書いてみよう。
長年連れ添った妻から離婚を言われた。
長年働いた会社からリストラされた。
再出発でひとりで暮らし始めた。
そんな中年(初老)の男。
望むとしたら、仕事、それから女だろう。 できれば若くて、いい女を、と思うのではないか。
そんな真二郎のところに、友人の編集者、石山から電話がかかってくる。石山のいる店に行くと、そこには彼の部下の若い女性二人がいる。
真二郎はそのうちその一人と関係を持つことになる。
それに加えて、真二郎に気になる女性ができる。そして彼は彼女のあとを追いかけたりして、最終的に近づくことができた。そして彼女とも。
真二郎は仕事が無い。石山に言われ、エロ小説を書き始めた。なんとかなりそうだ。
これは完全に、この世代の男性の欲望を具現化した小説だ。
そんなことはありえないだろう、と思いながらも、きっと読者は真二郎を応援する。
いい目を見てほしいし、自分もあやかりたいからだ。
リアリティではそんなことはないだろうと思いながらもそういうことがあってほしい、と思えるのもきっと真実だろう。
若くて美人に言い寄られる。そして別の女性をも口説く。
ありえないぞ、と思いながらもこういうことが自分にもあってほしい、と思いながら読むんではないかな。
ある程度年齢を重ねても、男は男。男のロマンには素敵な女性がつきものなのだから。
そして彼がまわりを巻き込んでいくうちに、彼は「幸福を売る男」ではないか、と言われる。
彼が全員を幸福にできたわけではない。もちろんいろいろ問題もあるし、失意の女性も出た。
だが、彼が多くの人間を幸福にしたことは確かだ。
結末も抑制が効いている。ありえないよ、と思いながらも最後のところは、ああ、こうなるのかあ、こういう結末ならやっぱりありだな、ときっと主人公に感情移入する多くの同世代男性は思うのだろう。
こういう、おさえた描写と男性の欲望の方向性を書く藤田と、女性の性愛を奔放に描き出す小池真理子が夫婦で、それぞれ直木賞をとっているというのは不思議な気がする。
藤田は、この世代の男性の願望を具現化させる作品を書くことによって、多くの支持を得ているのだろう。
私はこの世代よりは少し下だと思うが、それでも主人公に感情移入していた。
やはり、素敵な女性から純粋にアプローチされる、というのは男のロマンだな、と思う(笑)。
お勧め度:☆☆☆☆1/2 男として、きれいな女性と関係を持つ、というのはやはり一番わかりやすいロマンです。それを小説ではかなえてもらえます。ヤキモチをやかない程度の抑制スパイス付で・・・
by moon99999
| 2005-06-26 20:39
| 文学系