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by moon99999
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コバルト風雲録

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コバルト風雲録 久美 沙織

本の雑誌社 2004-10
http://tinyurl.com/ddgoo

紹介したつもりで紹介してなかったので(笑)。

コバルト、とは当然のように(笑)コバルト文庫である。
最初は、「集英社文庫 コバルトシリーズ」だった。
それは、基本的には少女向けの小説がメーンとなっている、文庫だった。
文庫ということで、中学生くらいでも買いやすい価格だ。

この本は、そのコバルト文庫の黎明期から発展期にかけて、「丘の家のミッキー」シリーズその他でコバルト界の人気作家になった久美沙織が、その当時より前を含めて、「少女小説史」コバルト編を書き表したものだ。

もともと、この作品のもとになったのは「創世記」というサイトだ。
それは、その当時「このライトノベルがすごい」というタイトルで運営されていた個人サイトに、久美沙織氏が投稿を続けることによってできていったものだ。

コバルト以前の吉屋信子氏(名前だけは知っていた)の話から始まり、当時のコバルトの書き手がちょっと古かったことなんかを書いている。

(濫読ひでのモノローグ少々)そうだよな~富島健夫先生の「制服の胸のここには」なんて読んだけど、あれって彼女が「きものをきて、庭をはいていた」んだよな~。 キスはしたけどそれ以上は、まわりの理解をくもらせたくないから、先にいかないって話だったし。(時代ですな~)
吉田とし、って人の本も読んだ。 他にもあったな~東京オリンピックがもうすぐで、とかいうやつとか。 (おわり)

要するにその当時、ちょっと古い感覚の人たちが書いていた、というわけです。
それをうちやぶったのが、氷室冴子さんと新井素子さんの登場。

などという歴史上の重点をおさえつつ、久美沙織のデビュー秘話(笑)が語られていく。

はじめのうちは書くだけで楽しかったこと。パラクリでSFメンバーとの接点ができたこと。
いまはもういないかがみあきら氏のこと。
そして、ファンサービスのための大変な苦労(持ち出しでここまでやるか・・・ご苦労様でした。)。コバルト5人娘(オーロラ3人娘ではありません[そんなの知らないぞ!])のことなど。
たしかに、作家「久美沙織」はコバルトに見つけられ、育てられ、一時代を作った。
ここまでは確かに、「コバルト風雲録」というタイトルにふさわしい作品だといえる。

そして・・・彼女は自分の居場所に疑問を持ち出したのだ。 なぜか。コバルトの、久美沙織の作品のファンから浴びせられた、予想もしない罵倒の数々が直接の引き金だった。

ここからは、コバルト、よりもむしろ「作家久美沙織はいかにして非コバルト者となりしか」「非コバルト者の久美沙織はいかにして生きてきたか」というストーリーがつづられてゆく。
コバルト風雲録、から「久美沙織風雲録」へと変化していくのだ。

内容はとても面白い。ゲームのMOTHERとの出会い、そして彼女の金字塔とも言えるであろうドラクエの天空三部作(すみません実は読んでないんだけど)との取り組み等。

私はこれで久美沙織という作家のファンになったといえる。作家がこういう悩みをもって作品を書いているのか、というようなことがわかったつもりになる。

ここのパートは、コバルト風雲録、からコバルトの現在に連なる歴史を想像していた人には、かなり予想外かもしれない。 アマゾンの感想などで、あまり高くない評価をつけた人は、その辺を受け入れられなかったのかもしれず、そういうことを志向する向きにはちょっと喰い足りないかもしれない。

ただ、タイトルに関係なく、面白い話ならいい、と思える人にはお勧めだろう。

本当は風雲録、とかだったら「黎明編」からはじまってあとのほうに「疾風怒濤編」「回天編」
「望郷編」などとつながっていくような気はするのだが、いきなり「望郷」からはじまり、その後に「疾風怒濤」という構成になって・・・まあいいや。

コバルトか・・・何もかも懐かしい・・・(をい)

お勧め度:☆☆☆☆1/2 現在のコバルト作家たちのことを期待するのではなく、あくまで現在40代くらいの人たちで、当時コバルトシリーズを読んでいた人たちが読むのなら実感がわくと思います。 それからもちろん、面白い話を読みたい人にはぜひお勧めです。
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by moon99999 | 2005-08-16 00:30 | ドキュメンタリー