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by moon99999
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言問

言問
領家 髙子

http://qrl.jp/?154641

花街を舞台にした三部作の第三作だそうだが、私はこれが初めてだ。
シーンの主人公が、すぐに入れ替わる。そのため誰が主人公かは初めのうちはわかりづらい。
舞台は花街。黒川という男がいる。彼の相手が二人。
1人は、もうすぐ子供を産む。
もう1人。黒川との子を出産したものの、その後子供を失ってしまった。
実際の主人公は子供を失った女、芳恵であることがやっとわかる。




芳恵には、精神的なつながりのある若手官僚の木村がいる。
ただし二人の間には肉体の関係はない。
子供を失った傷心の芳恵は、パリへ飛んだ。
パリには黒川の姉がいる。 そして木村はパリへと彼女を訪ねていく。
ところが・・・

芳恵の母も、花街の人間だった。
芸に生きる女。しかし、同じく芸に生きる男と結婚した結果、彼女の毎日は
地獄となった。だがそれも芸のこやし。
そして、母は芳恵の前である行動を取る。それが芳恵のトラウマにもなる。

花街は花街として生き残らせたい、と人々は思う。
その一方で、芸が失われていく事実。
その中で人々は何を思うのか。

作者は、女性として花街に暖かい目を向けている。
それは、彼女の出自がやはり花街にゆかりがあったから。

現代の女性たちが、花街でどう生きていけばいいのか。
その愛の形は、どうなのか。

古くて新しい命題である。
by moon99999 | 2004-12-22 00:47 | 恋愛小説