観覧車
2004年 12月 26日
観覧車―恋愛ミステリー柴田 よしき
祥伝社
2003-02
http://tinyurl.com/4lgeq
柴田よしきの「恋愛ミステリー」短編集だ。
主人公は唯という女探偵。
探偵をやっている夫が突然失踪してしまい、彼女はそのあとを継いで探偵になる。
唯は女性の視点で、いろいろな事件にアプローチしていく。 彼女の助けになるのが警察にいる男の友人の兵頭。兵頭とは恋愛関係ではなく友人である。
タイトルの「観覧車」というのは、唯が尾行する女性が毎日同じ観覧車に乗っているという話。
彼女が愛人関係にあった男が失踪し、彼女は容疑者になっている。
なぜ彼女が観覧車に乗っているのだろうか・・・
京都を舞台にしたミステリー。最後に突然佐渡へ飛ぶ。だがこの連作は終わらない。
謎を残しつつ、続きが待たれる。
柴田よしきが賞を取って、「観覧車」は受賞第一作だったそうだ。
そのときにシリーズ物にするつもりでキャラクターを設定。本になるまで7年かかったという。
「野性時代」に載ったものだそうだ。
私は大判のころの野性時代しか知らないのだが・・・
この本に出てくる人たちには、根っからの悪人はいない。「犯人」はいるが、その犯人も決して根っからの悪人ではないのだ。 (犯人がいない作品もある。)
それを、作者は女性ならではの視点で描き出している。
特に、「そこにいた理由」は切ない。
これは、切ないラブストーリーだ。
あるいはジャック・フィニイとかO.ヘンリーのような作品かもしれない。
そういえばこのような思いを味わったのは・・・梶尾真治の名作「美亜に贈る真珠」「時尼に関する覚書」あたりもそうだったかな。
作品と現実の世界で時間がたつうちに、唯の気持ちは変わっていく。
ただ夫を待つ気持ちから、真相を突き止めようという気持ちへ。
そして、夫に貞操を立てることだけでなく、時には違う感情も持つ。
「終章、そして序章」の最後の4行には、唯が変わったことが如実にあらわれている。
作者は続きの構想があるらしい。ぜひ長編で読みたいものだ。
お勧め度:☆☆☆☆★ ハードボイルドではありません。 最後を除いて静かな話です。
祥伝社
2003-02
http://tinyurl.com/4lgeq
柴田よしきの「恋愛ミステリー」短編集だ。
主人公は唯という女探偵。
探偵をやっている夫が突然失踪してしまい、彼女はそのあとを継いで探偵になる。
唯は女性の視点で、いろいろな事件にアプローチしていく。 彼女の助けになるのが警察にいる男の友人の兵頭。兵頭とは恋愛関係ではなく友人である。
タイトルの「観覧車」というのは、唯が尾行する女性が毎日同じ観覧車に乗っているという話。
彼女が愛人関係にあった男が失踪し、彼女は容疑者になっている。
なぜ彼女が観覧車に乗っているのだろうか・・・
京都を舞台にしたミステリー。最後に突然佐渡へ飛ぶ。だがこの連作は終わらない。
謎を残しつつ、続きが待たれる。
柴田よしきが賞を取って、「観覧車」は受賞第一作だったそうだ。
そのときにシリーズ物にするつもりでキャラクターを設定。本になるまで7年かかったという。
「野性時代」に載ったものだそうだ。
私は大判のころの野性時代しか知らないのだが・・・
この本に出てくる人たちには、根っからの悪人はいない。「犯人」はいるが、その犯人も決して根っからの悪人ではないのだ。 (犯人がいない作品もある。)
それを、作者は女性ならではの視点で描き出している。
特に、「そこにいた理由」は切ない。
これは、切ないラブストーリーだ。
あるいはジャック・フィニイとかO.ヘンリーのような作品かもしれない。
そういえばこのような思いを味わったのは・・・梶尾真治の名作「美亜に贈る真珠」「時尼に関する覚書」あたりもそうだったかな。
作品と現実の世界で時間がたつうちに、唯の気持ちは変わっていく。
ただ夫を待つ気持ちから、真相を突き止めようという気持ちへ。
そして、夫に貞操を立てることだけでなく、時には違う感情も持つ。
「終章、そして序章」の最後の4行には、唯が変わったことが如実にあらわれている。
作者は続きの構想があるらしい。ぜひ長編で読みたいものだ。
お勧め度:☆☆☆☆★ ハードボイルドではありません。 最後を除いて静かな話です。
by moon99999
| 2004-12-26 23:31
| 推理小説系