メリーゴーランド
2005年 01月 11日
メリーゴーランド 荻原 浩
新潮社 2004年6月
http://tinyurl.com/6boww
地方公務員として、「アテネ村再建対策室」に転勤した啓一は、信じられないものを見た。
金だけ食ってまったく人を呼べない施設。 それをまた食い物にする人々。
子供に恥ずかしくない仕事をするために、啓一はアテネ村の再建に全力を尽くす。
・・・という話なのだが、一言で言うと・・・
面白い!
何が面白いかというと、とにかく登場人物がおかしい。
真面目な主人公と、その上司やら関係会社の理事やらなにやら。
たとえばこんな感じだ。
入場料金を下げた施設のほうが、入場者数が増え、かえって粗利益率も向上している。価格変更積極派の事業部長が大きくうなずいていた。
「これはいかんな」
・・・
「それでは変更はできんね」
・・・
「我々の料金設定が過ちだったという誤解を招きかねん」
「設立当初とは事情が違いますからね。いまさら責任云々と言われても困りますな」
「ということだわな。イベント期間中の料金も据え置き。目標入場者数は昨年と同数が最低ラインだな」
・・・
「料金を安くして、もし客が押しかけたらどうするんだ。私たちが間違っていたと公表するのも同じじゃないか」
こんな人たちを相手にしつつ、なんとかアテネ村再建のために啓一は頑張るのだ。
最後までいろいろどんでん返しがあって、楽しい。そして結末はちょっとほろりとさせられる。
最近ではイチオシの面白さだと思う。
お勧め度: ☆☆☆☆☆ 事なかれ主義をぶっとばせ!
by moon99999
| 2005-01-11 00:11
| 文学系