長恨歌 不夜城完結編
2005年 02月 06日
長恨歌 不夜城完結編馳星周
角川書店 (2004/12)
http://tinyurl.com/6wjj9
新宿歌舞伎町の中国人たちの闘争を描く「不夜城」最終話になる。
当初の予想では、歌舞伎町を手に入れた劉健一と、それに復讐を誓う楊偉民の戦いが軸になるのでは、と思っていたが、まったく違う話になった。
主人公の武基裕は、中国人だが、残留日本人孤児の戸籍を手に入れて日本にわたった。日本国籍を持つが日本では排斥されてしまい、歌舞伎町で中国人と日本人の橋渡しをしている。昔の劉健一のように、日本人として契約を結んだりできることがメリットになっているのだ。
基裕は、やむにやまれぬ事情で劉健一に出会う。そして彼を利用しようとするが、健一は基裕の秘密を簡単に知ってしまった。
そして基裕は幼馴染の小文に出会うが、小文は敵のボス、徐鋭の女になっていた・・・
健一の掌で踊る基裕。
スタートから楊偉民と徐鋭のからみがあり、そして唐突に基裕の話になる。
失望した、という感想がアマゾンでは多かった。私はそうでもない。
ただ、健一が楊偉民の立場になり、基裕が不夜城における健一の立場になった、ということだ。
しかし健一はなぜ歌舞伎町に残っているのか。 そしてどうして小文はああなったのか、があまりはっきりしないうらみは残っている。
裏切りの連続なのは「不夜城」以来の伝統だろう。
最後は正直言って、かなりあっけない。もっと長いストーリー、おおくの絡みができたはずだ。
だが、作者がこの話を終わらせたかったのもたぶん事実だろう。
そして、しっかりとした結末がついた。
おそらく、皆が予想した形で。
むろん、意外な部分もあるが・・・
今回、不夜城で健一に感情移入した程度には基裕に感情移入できなかった。
基裕の「強さ」があまり感じられなかったからかもしれない。
ともあれ、完結にはすなおに拍手を贈りたい。
お勧め度:☆☆☆☆ 健一はなにを目的に生きてきたのだろうか?
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by moon99999
| 2005-02-06 12:28
| エンターテインメント系