再生巨流
2005年 05月 24日
再生巨流 楡 周平
新潮社 2005-04-21
http://tinyurl.com/dm6r4
ひさびさの楡周平の意欲作。
ビジネスものだ。
吉野はスバル運輸のやり手営業マン。かたちだけの昇進により、部下ひとりだけの部長になった。彼のミッションは、新規事業で四億円以上の売上を上げることだ。
迷う吉野の前に、文房具の通販のプロンプトが売上を拡大している、という事実が出てくる。そして、吉野は、元高校野球選手の蓬莱と出会う。蓬莱は、スバル運輸のセールスドライバーとして稼ぎながらも、いろいろなビジネスアイディアを持っていた。
吉野のアイディアが、だんだん形になって行く。そして会社をまきこんだ、1大プロジェクトへと成長していく。
かなり実在の会社を彷彿とさせるビジネス書だ。
いくつかの会社がモデルであろうことは想像にかたくない。
だが、この物語は、それだけではない。
ビジネスを成功させて行くためには何が必要なのか、ということが見えてくる。
もっとも必要なのは、執念だ。吉野の執念は、最後までこのプロジェクトをやりとげていくところにある。吉野と好対照をなすのが、彼の上司の三瀬だ。
三瀬は、役員(常務)でありながらも、上をみつつ、リスクは取ろうとしない。また、吉野のプロジェクトにいい顔をせず、妨害したりつぶしにかかろうとしてしまう。
吉野は三瀬を排除すべく禁じ手を使う。だがそれは背水の陣でもあった。
ビジネス書として読んでも、興奮しながら一気に読める。良質のエンターテインメントだと思う。もちろんモデルにはある程度の限界があるだろうし、プログラミングの部分などはちょっと物足りないが、そういう欠点を補ってあまりあるダイナミズムがこの作品にはある。 アイディアについても島耕作が言っていたようなことでもあるが、だからといってこの作品がおとしめられることはない。
元気が出るビジネス小説だ。 ビジネスマン必読!
お勧め度;☆☆☆☆☆ ネットビジネスも人間がうごかしている!
by moon99999
| 2005-05-24 00:38
| エンターテインメント系