BG, あるいは死せるカイニス
2005年 05月 29日
BG、あるいは死せるカイニス 石持 浅海
東京創元社 2004-11-30
http://tinyurl.com/7wva8
これはSF推理小説だ。
この小説の背景、どんな話しかをまったく知らずに読み始めて、途中で設定が明らかになってくると、正直驚愕した。
こんな設定を考え付くとは!
どこまで設定から説明するか迷う。同じ驚愕を味わってもらいたい気があるから。
だが、せっかく紹介するのだ、きっちり紹介しよう。
まずは冒頭にギリシャ神話が引用される。
「ポセイドンはエラトス王の娘カイニスと交わった際、何でも望みをかなえてやると約束した。カイニスは男になることを望んだ。
願いは聞き届けられた。」
そして本文が始まる。
すぐに、ちょっとひっかかる部分がある会話がある。
「優子さん。優子さんもやっぱり男になりたい?」
わたしが尋ねると、優子さんは少し首を傾げた。
「やっぱり、なりたいかな。生物として強靭である証明だものね。」
・・・
「優れた人間になるには、精進が欠かせないでしょう。それは男も女も同じこと。それなのに世間は、男に関しては、男になったというだけで、優秀さを要求してしまう。」
・・・
「男になったというだけで『あがり』と思ってしまう男が多すぎるわ・・・」
とくに最後の文はなんだろう。男であるというだけで、ではなく、「男になったと・・・」というのだ。
だが、ひっかかっていることはあるが、読みすすめると、「わたし」の姉の「優子さん」がレイプ未遂の末殺されていることがわかる。
そして、読んでいるうちにだんだんわかってくる。どうも設定がちょっと違うのだ、と。
ここは、パラレルワールドの世界なのだろう。
今の人類と、ちょっと違うところがある。でもそれ以外は同じようなものだ・・・・。
そして、なぜ優子、そして宮下さんが殺されたのか。BGとは何か。
謎は謎を呼ぶ・・・
実は、この作品は、設定こそ奇想天外だといわざるを得ないが、それ以外はきっちりした推理小説なのだ。
ちゃんとBGの謎も明かされるし、犯人の動機も明らかにされる。犯行の手段も明示されるし、すべての謎ときの手がかりは巧みに作品内部にちりばめられている。
世界の設定を受け入れさえすれば、あとは推理小説としてフーダニットの世界を楽しんでもらいたい。もちろんこの世界をどう受け入れるかは読者の自由だ。
とくに男女でこの世界の受け入れ方は違うような気がするのだ。
ただ、この設定はさておき、謎解きは最後綺麗にできあがる。
作者は新人らしい。とても有望だと思う。
お勧め度:☆☆☆☆ この世界の設定を受けいれられればあとは楽しんでください!
(追伸 この世界の設定を書かないで説明するのはとても難しいです。)
東京創元社 2004-11-30
http://tinyurl.com/7wva8
これはSF推理小説だ。
この小説の背景、どんな話しかをまったく知らずに読み始めて、途中で設定が明らかになってくると、正直驚愕した。
こんな設定を考え付くとは!
どこまで設定から説明するか迷う。同じ驚愕を味わってもらいたい気があるから。
だが、せっかく紹介するのだ、きっちり紹介しよう。
まずは冒頭にギリシャ神話が引用される。
「ポセイドンはエラトス王の娘カイニスと交わった際、何でも望みをかなえてやると約束した。カイニスは男になることを望んだ。
願いは聞き届けられた。」
そして本文が始まる。
すぐに、ちょっとひっかかる部分がある会話がある。
「優子さん。優子さんもやっぱり男になりたい?」
わたしが尋ねると、優子さんは少し首を傾げた。
「やっぱり、なりたいかな。生物として強靭である証明だものね。」
・・・
「優れた人間になるには、精進が欠かせないでしょう。それは男も女も同じこと。それなのに世間は、男に関しては、男になったというだけで、優秀さを要求してしまう。」
・・・
「男になったというだけで『あがり』と思ってしまう男が多すぎるわ・・・」
とくに最後の文はなんだろう。男であるというだけで、ではなく、「男になったと・・・」というのだ。
だが、ひっかかっていることはあるが、読みすすめると、「わたし」の姉の「優子さん」がレイプ未遂の末殺されていることがわかる。
そして、読んでいるうちにだんだんわかってくる。どうも設定がちょっと違うのだ、と。
ここは、パラレルワールドの世界なのだろう。
今の人類と、ちょっと違うところがある。でもそれ以外は同じようなものだ・・・・。
そして、なぜ優子、そして宮下さんが殺されたのか。BGとは何か。
謎は謎を呼ぶ・・・
実は、この作品は、設定こそ奇想天外だといわざるを得ないが、それ以外はきっちりした推理小説なのだ。
ちゃんとBGの謎も明かされるし、犯人の動機も明らかにされる。犯行の手段も明示されるし、すべての謎ときの手がかりは巧みに作品内部にちりばめられている。
世界の設定を受け入れさえすれば、あとは推理小説としてフーダニットの世界を楽しんでもらいたい。もちろんこの世界をどう受け入れるかは読者の自由だ。
とくに男女でこの世界の受け入れ方は違うような気がするのだ。
ただ、この設定はさておき、謎解きは最後綺麗にできあがる。
作者は新人らしい。とても有望だと思う。
お勧め度:☆☆☆☆ この世界の設定を受けいれられればあとは楽しんでください!
(追伸 この世界の設定を書かないで説明するのはとても難しいです。)
by moon99999
| 2005-05-29 19:02
| 推理小説系